こんにちは。ゆっきぃです🙂
今回、レゴブロックを使った研修に参加してきました。
レゴと聞くと子供のおもちゃ?と思われるかもしれませんが、NASAやGoogle、トヨタ、Softbankなどでも実施されている、れっきとしたビジネスの研修です。
今回はそんなレゴブロックを用いた研修、レゴシリアスプレイ(LEGO SERIOUS PLAY)についてご紹介します。
目次
レゴシリアスプレイって

レゴシリアスプレイの概要
レゴシリアスプレイとは、レゴブロックを用いたワークショップです。
レゴ社によって開発された対話メソッドで、マサチューセッツ工科大学の教育理論であるコンストラクショニズムに基づいています。
海外では、NASAやGoogleを始めとした最先端の組織で導入されたことで話題となりました。
日本でも、トヨタ、ソフトバンク、味の素、博報堂、早稲田大学、公務員研修など様々な機関で広がりを見せています。
ワークショップの方法

①お題に沿った作品制作
ファシリテーターからお題が提示されます。
お題は、研修テーマに沿って考案されたものが出されます。
参加者は、お題を元にブロックを選び、作品を作ります。
②作品を使ってチームメンバーに説明する
チームメンバーに、作品を通して自分の考えを伝えます。
作品にはどういう思いが込められていて、このブロックは何を意味しているのかなど、作品を使って語るのがポイント。
人に物事を伝えるのが苦手な人も、自分の思考という漠然としたものを見える化したことで、作品についてのみを集中して伝えることができます。
あえて作品という縛りを設けたことで、論点が迷子になりません。
③チームで作品について話し合う
作品を元に、チームメンバーは色・形・向き・配置など思ったことを質問し、作者はそれに答えます。
- なんで緑のブロックを選んだの?
- その旗にはどんな意味があるの?
- どうして下でなく上にはめたの?
他者と対話していくことにより、本人も気が付かなかった点が見えてきます。
作っている時には、そんなことまで考えていなかった、という疑問がたくさんでてきます。
その意味を、あえて言うならこういうことになるかも・・・と考えながら答えていくことで自己理解が深まります。
気付きを得る

自己分析の効果的な方法に、自分がどんな人間か他者に訪ねてみるという手法があります。
しかしながら、自分で思っていることと正反対のことを言われると、自身ではなかなか認めたくないのも事実。
そんな時に、レゴブロックという作品をあえて間に挟むことで、他人から見るとこんな見方もできるのか、と素直に受け止めることができます。
実際の研修風景
今回は、中小企業診断士の研修の一環で受けました。
研修テーマは、健康経営についてです。
健康経営(けんこうけいえい)とは、従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法のこと。その始まりは、アメリカにおいて1992年に出版された「The Healthy Company」の著者で、経営学と心理学の専門家、ロバート・H・ローゼン(Robert H. Rosen)が提唱したことによるとされている。
出典:Wikipedia

会場に入るとレゴブロックの入った袋が配られました。
子供の時に遊んだ記憶があまりない・・・
う~ん、レゴで遊ぶの実は初めてかもしれない😓

中身をお皿に開けます。
ブロックは色とりどりで綺麗ですね。人型のもいます。
今回は5~6人ずつのグループになって、自己紹介をした後に課題開始です。
30~40代の男性2名、女性1名。60代の男性2名のチームです。
お題1:あなたの強みをブロック3つで表現

あなたの強みをブロック3つで表現してください。
まずは個人作業で2分間ブロックを選びます。
その後、グループで一人2分ずつの発表と質問を行います。
使えるのが3つだと何を選ぶかが難しいですね。
バラバラでもいいですが、3つでなにかの形にしたい・・・
ちなみに自分のはこんな感じになりました(赤丸部分)

白の長いブロックと、赤ブロック、青ブロックの3つです。
どのように見えますか?

自分のテーマは「架け橋」です。
赤と青はそれぞれ異なるスキルや資格、経験、価値観を表します。
白い部分はお互いを橋渡しする役割を示します。
つまり、異なるコミュニティ感でお互いの立場になって双方の架け橋となる。
そんな自分を表現してみました。
Q:なぜ赤と青なのか?
A:色んな色があったけど、この中でパッと見でわかりやすい反対色だからです。
静と動、冷静と情熱、ジェンダーなども意味します。
Q:なぜ橋は白なのか?
A:(本音)一番長いブロックが白だったから・・・
(建前)白というのは何色にも染まっていない状態。公平に両者を見ることができます。
こんな感じで、進めていきます。
グループの中では、人形の頭の上に花を咲かせている方もいました。
自分の思ったことを形にして説明すること。
形にしてみたら後から見えてきたものを自分の頭の中で組み立て直すこと(フィードバック)
考えてなかったことを突っ込まれたら、それっぽい理由を考えてこじつけること。
後から前提を考える。答えから問いかけを導き出す(帰納法的な論理化)
お題2:あなたの1年後、5年後、10年後は?

あなたの1年後、5年後、10年後を、各ブロック1つずつで表現してください。
ちなみに下のオレンジが1年後、黒い棒が5年後、上に乗っている緑色のブロックが10年後です。
さて何に見えましたか?

1年後のオレンジの部分は階段です。一歩一歩登っていくことを意味しています。
5年後の黒い棒は、柱となるものです。自分の中に確固たる柱を持ちたいという意味です。
10年後の緑の部分はプロペラです。羽を広げ羽ばたいていくイメージです。
Q:なぜ階段は小さいオレンジの部品を使ったのか?
(もっと横長のグレーの台形ブロックもあります)
A:(本音)ちょうどハマりやすかったから。
(建前)小さな階段を選んだのは、小刻みでも毎日一歩一歩前進するためです。
Q:ヤシの木だと思いました。
A:(本音)確かに・・・そんな事考えてなかった。
(建前)旅行が好きなので南の島で暮らしたいという思いの現れです。
他のグループメンバーの作品だと、小中大のブロックを並べることで、大きくなっていく自分を表現している方がいました。
反対に、だんだん小さくなっていき最後は花びらになって散るというシニアの方もいました😭
お題3:健康経営を日本で広めるには?
今回のテーマである健康経営。
まだあまり認知されていない概念ですが、都道府県で対象企業の審査を行ったり、東証で対象銘柄を毎年選定したりしています。
この活動を今後日本で広めるためにはどうしたらいいでしょうか?
中小企業診断士の研修なので、中小企業という観点でも目を向けたいところです。
ブロックの使用数は無制限で、各自5分間で制作します。意味の説明とディスカッションは1人あたり4分間。

こんなのできました~。
さて、どんな意味合いが込められているでしょうか。

左側の人は、リーダーシップを発揮する人です。自らが旗振り役となって改革を進めていきます。
足下のグレーのはしごのようなパーツは、高層ビルをイメージしました。
大企業の一人あたり労働生産性1,403万円に対し、中小企業は556万円と余裕がありません。
まずは大企業が率先してロールモデルを作り、中小企業に浸透させていく必要があります。
右側のブロックは、互い違いにいろんな色や形の棒をクロスさせて積み上げています。
これは、固定観念にとらわれず、様々な価値観を受け入れたダイバーシティな社会を作っていくことを意味します。
右中央の花は健康と情熱をイメージしています。
Q:なんで左のパーツは大きさや形がバラバラなの?
A:(本音)うまくハマるパーツがなかったからです。
(建前)様々な価値観を表しています。
健康は画一に定義するものではなく、個人の望む健康状態があると考えました。
確かにプライベートを重視する人が増えました。
しかしながら、仕事の負荷を減らすことだけが正解ではありません。
きつい仕事を通して自身が成長することが喜びという人もいます。
それぞれの健康は、色だけでなく形も向きもバラバラであると考えました。
Q:どうして棒の上に花を付けたの?
A:健康というと体の健康を捉えがちですが、心の健康にもフォーカスしました。
緑の葉が体の健康、花が心の健康です。
また、この花はたいまつと心の炎と捉えることもできます。
健康的に働くためには情熱やモチベーションを持って働ける環境づくりが必要です。
グループメンバーの作品
いかがでしたでしょうか?
ここでグループメンバーの作品もご紹介します。
テーマの主張に関しては対話を通じて自分が感じたことを記載しました。
本人の意図しているものと異なる可能性もありますがご了承ください。

写真だと横からで見えづらいですが、下の黒いブロックがブラック企業、その上に色んなカラーや高さの様々な企業がいるそうです。
一番上の白い横棒はホワイト企業で、そこにゴールの旗があります。
健康という観点からホワイト企業を選び、それを優遇し、目標とすることで、それを社会全体のゴールとしていこうといった内容でしょうか。

大海原を進む船をイメージしています。
先頭にいるのは頭に花が咲いた健康な人が牽引しています。
後ろのプロペラ(スクリュー)の上に乗っているのは、国などの公的機関や銀行です。
プロペラが回転し、施策について市民は様々な角度から検証することができます。
海では溺れている人もいますが、これらの取り組みによって左側のはしごから上に登ってきて助かることができます。
みんなの目による施策の効果、実効性の確保と、セーフティーネットの拡充といったような内容だと思います。

健康経営という考え方は、地味で影が薄いので、それに勇猛果敢に立ち向かっていく戦車をイメージしたそうです。
上にはレーダーのアンテナが回っていて社会の情報を集めています。
要塞のようなどっしりとした姿ですが、脚(キャタピラ)で前に進み、派手な砲撃でブラック企業を倒します。
社会の注目を集めるための派手な砲撃は、厚生労働省のブラック企業リスト公表のような取り組みを活用できるのではないかとのことです。
健康経営の認知度を大々的にあげることによって、健康に対する意識改革と社会の健全化を目指すといったような内容でしょうか。

これは、ある社員の将来歩むべき運命を示しているそうです。
人のすぐ後ろにある緑色の2本の旗は、順風満帆の人生を邪魔する存在、ふりかかる逆風や、様々なリスクを表しています。
白い棒は分岐した将来の道で、その先に待ち受ける運命を暗示しています。
黒い棒は植物をイメージしており、一方は葉が繁って生命力に満ち溢れています。
もう一方は枯れ果てて、健康を失った状態です。
リスク回避のためのセーフティーネットの拡充や、人生設計の教育や、誤った道を選んだ時に修正させるカウンセリング制度などが鍵になるといった感じでしょうか。
ワークショップの目的と成果

発表者(作品の製作者)
アウトプット側の人は、自分の考えを相手にどう伝えるかということが求められます。
つまり、相手をどう説得し、納得してもらうかが重要になります。
その場にいる自分がいつも正しい情報を持っているとは限りません。
限られた情報の中からどう筋道立てて、もっともらしい解答を構築できるかが試されます。
正解かどうかよりも、どういうふうに筋道立てて戦略を組み立てたかが重要である、フェルミ推定の問題とも似ていますね。
コンサル職はもちろんですが、営業でも最後のひと押しや、困った質問が来た時の対処に効果を発揮しそうです。
今回のクロージングに運ぶためのステップ例
- 見える化:思考をブロックに置き換え、理解させる
- 創造性:後付けでもブロックに意味(理由)をもたせる
- 論理性:矛盾のない一貫したストーリーを展開する
- 共感:相手を納得させ好意的な行動を引き出す
質問者(チームメンバー)
問いかけを考えることは、一見単純なようで簡単ではありません。
相手からどうやって課題を引き出したらいいかという、ファシリテーションの練習にもなります。
通常の議論は何らかの正解があることがほとんどです。
正解がなくてもその中でベストな落とし所というものがあります。
しかし、今回のような個人の感性が多分に含まれるものは、正解がありません。
自分の想定していた答えとは異なる、予想外の方向からの答えが返ってきます。
ただ、違っているだけではなく、どうして異なる答えに至ったのか、相手の思考のロジックや前提条件を考えてみると、とても興味深い気付きが得られます。
まとめ

今回は、レゴブロックを用いたワークショップ、レゴシリアスプレイについてお伝えしました。
子供の玩具と侮るなかれ、普段あまり使わないような頭の使い方をするため、新しい気付きが生まれ、アウトプットの訓練とファシリテーションの訓練が同時に行えます。
その効果は、数多くの最先端の企業でも研修に用いられていることからも実証済み。
難しい内容もなく誰でも気軽に取り組めるので、みなさんも一度体験してみてはいかがでしょうか。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう👋