こんにちは。ゆっきぃです🙂
トランプ大統領は憎まれ役ですが、何故だか人気がありますね。
なぜあれほど問題発言を繰り返す彼が支持されたのでしょうか。
その秘密と、喋り方の極意に迫ります!
この記事は2016年に書いたものを、2019年に加筆しました。
トランプ大統領のスピーチの特徴
どうして大衆の支持を獲得できたのか
それはどうやら彼の話し方にあるようです。
トランプといえば過激な発言を繰り返すことで知られています。
彼のスピーチは、簡単な言葉で、一文を短く話すことや、
思ったことをそのまま言葉にして伝えているのが特徴です。
言葉選びは客観的な事実ではなく、主観的な自分の意見に基づいています。
たとえ適切に表現できないとしても、客観的なものより簡単な一言を優先します。
なぜならば、それは、わかりやすいからです。
だからこそ、聞いているものをその気にさせてしまうのでしょう。
他の候補者との違い
ヒラリー・クリントンとトランプのスピーチの違いは、
書き言葉と話し言葉の違いだと言われています。
クリントン氏は選挙演説で、中東の問題について述べた時、
アメリカに害を及ぼす人たち、という伝え方をしました。
では、トランプはどうだったのでしょう。
彼は一言、悪い人と言いました。
ヒラリー氏は、客観的な事実を述べています。
しかし、アメリカ人のトランプにとっては、
アメリカに害を及ぼす人=全て悪い人なのでしょう。
トランプは基礎的な単語ばかりを用いて、誰が聞いてもわかる、単純な文で語りかけます。
伝えられたのは全て彼の意見ですが、その場で聞いている大衆はこう思います。
ああそうだ、自分の意見と同じだ。
これが彼のテクニックの凄いところです。
さらに彼は、時事ネタをアドリブで使うことにも長けています。
Twitterで批判を浴びると、すぐさまそれをネタに、揚げ足を取って反撃に転じます。
原稿通りに話すことを良しとする一般の政治家では、彼との舌戦に勝つことは難しいでしょう。
言葉遣いが幼稚である
トランプの話し方は、幼稚と言われています。
どのくらい幼稚なのでしょうか。気になりますね。
米ボストングローブ紙に検証記事がのっていました。
アメリカでは、使われている文章で教科書が1~12のレベルに分かれています。学年は12段階あり、日本の小学生に当たるのが1~6年生、中学生に当たるのが7~9年生、高校生に当たるのが10~12年生です。
有名なリンカーン大統領のゲティスバーグ演説(人民の、人民による、人民のための政治)はどうでしょうか。
わかりやすさでも、インパクトでも群を抜いています。
ちなみにこれは、10~11年生(高校1~2年生)レベルとのことです。
2001年~2009年まで大統領を務めた、ジョージ・W・ブッシュ大統領の演説はどうでしょうか。
彼は言葉遣いの拙さをよく指摘されていました。
結果は、小学5年生レベルの英語だそうです。
ブッシュ氏って、お金持ち一家のお坊ちゃんであるところと、問題発言やそそっかしいところが、どことなく日本の麻生大臣に似てると思うのはボクだけでしょうか(笑)
では、トランプ大統領はというと、どうでしょう。
お察しの通り歴代最下位です。
彼のスピーチは小学4年生のレベルだそうです。
彼のスピーチを扱った記事には、次のようなタイトルがつけられています。
「I’m rich.(私は金持ちだ)くらいのフレーズで話せば、誰でもわかる。」
日本でいうところの、サルでもわかる○○。みたいなものでしょうか。
彼は過激な発言で注目を集めるのも特徴ですが、実は聴衆や会場に合せてそのスピーチのレベルを大きく変えています。
メキシコ国境に壁を作るスピーチの例
トランプはサウスカロライナの選挙演説で、
メキシコとの国境に壁を作る。その費用はメキシコ側に出してもらう。
と発言しました。
それぞれのフレーズが短くわかりやすいうえに、トンデモ理論が展開されていくのが面白いので、ぜひ読んでみてください。
Mexico is killing us – absolutely.
メキシコは我々を困らせている。本当だ。We’ll do the wall. Don’t worry. We’re going to do the wall.
私たちは国境に壁を作る。心配はいらない。壁を作るのだ。We are going to do the wall and by the way, who’s going to pay for the wall ?
私たちは壁を作る。ところで、その壁の代金は誰が支払うのか?Mexico’s going to pay for the wall and it’s very easy.
メキシコが支払うことになるだろう。とても簡単なことだ。The other politicians come down,”you can’t get Mexico to pay for the wall.”
他の政治家が来て言った。「メキシコに壁の代金を払わせることは不可能だ。」I said, “100 percent.”
私は言ってやった。「100パーセント可能だ。」We had a $58 billion trade deficit with Mexico.
我々はメキシコに対して580億ドルの貿易で損をしている。The wall is going to cost $10 to $12 billion, OK ?
壁は100億から120億ドルだ。どうだ、わかるよな?Believe me, they will pay.
私を信じろ。彼らは払うことになる。
言っていることは、滅茶苦茶ですね。
でも、何が言いたいかは不思議とわかってしまう。
国と国の話し合いや国連や民間の努力で穏便に解決したとしても、国民に芽生えたわだかまりは簡単には解決しません。合理的な判断と感情は別問題です。ここを上手く突いてきます。
お前らムカつくから詫びろ。
どう落とし前つけるんだ?金払えよ、です。
感情に訴えかけるわかりやすさが、大衆の支持を獲得できることの証拠と言えます。
言い回しの多彩さ
言葉はとても幼稚です。
ところが、文法のバリエーションとなると、格段に優れています。
彼の型にはまらない話し方は、バリエーションの多彩さから来るもの。
見ていて、いい意味でも悪い意味でも人を飽きさせません。
米国インディアナ州のビバリッジ上院議員はこんな風にも話しています。
聴衆のなかでもっとも教養がないと思われる人を選び出してください。
そして、その人に対してあなたの議論に興味を持たせるように努力してください。
これは良い練習になります。
何故なら、事実を明快に述べ、考えの道筋をはっきりと示すことが必要だからです。
雇用が悪化した。と言うところを、トランプ流に表現すると、
仕事が盗まれるになります。
普通は使わない、面白い表現ですね。
得している人と損している人が存在する。確かにそうかも、となります。
大事なことは何度も何度も、手を変え品を変え繰り返し伝えてください。
回数を重ねるほど相手の中に刷り込まれていきます。
やがてそれが空気のようになった時、あなたと相手の中で共通の認識が出来上がっています。相手は、あなたの言葉に対して違和感を感じなくなっているはずです。
敵と味方に分ける
オバマ前大統領はWe canを多用していました。
みんなで力を合わせれば、きっとできる!と大衆に元気を与えました。
対してトランプは、I can(私ならできる)と断言するのが特徴です。
俺なら当然できるよ、凄いから。
でも俺を選んだ君たちもさすがだね。わかってるじゃん!
と、おだてることで自分との一体感を生み出します。
人は常に自分の味方を求めています。
同じ考えを共有する人の中にいることは、自分のアイデンティティが認められたことと同様、とても心地よいものです。
そのために彼は敵と味方を用意します。
トランプ=アメリカ=民衆 という一体感を持たせる工夫を随所に施しています。
彼は仮想の敵を生み出すことにも長けており、わかりやすいストーリはこうです。
- かつて我々は偉大だった。
- だが今、悪者のせいで我々は危機に瀕している。
- 敵とみんなで戦おう。勝利し、かつての栄光を取り戻そう!
私達は負けない。
何故なら、私達は正義のヒーローだからだ。
アメリカ人がとても好きそうな表現です。
本当にそうなのかと普段から批判的に検証していないと、
知らないうちに、そうだ!とその気にさせられてしまいそうですね。
まとめ
難しい専門用語で武装し、いかに自分が賢いかと優越感に浸るのは間違いです。
小学生の聞き手でも理解できるくらいに単純明快に話すことが重要。
たとえ相手が上辺だけしか理解できなかったとしても、それでいいのです。
知っている。自分でもわかる。
そう相手に勘違いさせてしまうくらい、わかりやすくする。
そうすれば相手はあなたの話に夢中になり、主導権を握ることが出来るでしょう。
- わかりやすい言葉をあえて選んで話すこと。
- 同じことを何度も繰り返し、刷り込むこと。
- 言い方を変え、相手を飽きさせないこと。
- 相手の立場から敵と、味方=自分を作り出すこと。
このトランプ流の話し方のポイントを意識するだけで、聴衆はあなたの話に引き付けられるようになります。
少し馬鹿っぽく思われるという欠点もありますが、それはご愛敬。
何を考えているのかわからない賢人よりも、リーダーシップのある愚直な馬鹿の方が魅力的に映ります。
あなたのファンを獲得するためですので、そこはまぁ目をつぶってください(笑)
終わりに
民衆は正しい事など求めてはいない。
自分と同じ意見を持った仲間を常に求めている。
トランプは国民が社会的な立場からは公に言えない意見を、自らが発することで彼らの代弁者となったのだ。
彼はアメリカが生んだ偉大な成功者であり、一人のビジネスマンである。
その巧みな営業トークは、人々の心を虜にさせる。
彼は決して理想の政治家ではない。
しかし、国民の判断によって、彼は選ばれた。
その結果がアメリカをさらに偉大な国へと押し上げるのか、はたまた偉大なる大国の凋落の始まりとなるのか。
それはまだわからない。
技術は日々進歩しているが、この混迷する時代は何を意味しているのだろうか。果たして人類は先に進んでいるのだろうか。
それは誰にもわからない。
それではまた、次回のブログでお会いしましょう👋